市場連動型プランの仕組みとリスク
公開:2026年9月20日

「市場連動型」で検索すると、「危険」「やめたほうがいい」という言葉が並びます。 一方で、当サイトでご紹介している蓄電池は、この市場連動型のプランへ切り替えることが前提です。
この記事でわかること
- 市場価格に連動する仕組み
- 安くなる時間帯
- 高騰時のリスク
- 蓄電池があると何が変わるか
- 向く人・向かない人
読むのにかかる時間:約5分 / 出典は記事の末尾に記載しています
読む前に、向き不向きだけ先に確かめることもできます。 電気代の削減効果は、もともとの電気代の大きさで決まります。合わない場合は、その旨をはっきり表示します。
矛盾しているように見えるかもしれません。 この記事では、仕組み、どんなときに安くなり、どんなときに高くなるのか、 なぜ「危険」と言われるのか、そして蓄電池があると何が変わるのかを、順に説明します。 いいところだけを書くつもりはありません。
市場連動型とは、単価が「卸売市場の価格」で決まるプラン
日本の電気は、卸売市場(日本卸電力取引所=JEPX)で売り買いされています。 中心となるのがスポット市場(一日前市場)で、これは翌日に受け渡す電気を取引する市場です。 JEPXの説明によれば、一日を30分単位に区切った48商品について取引が行われます。
野菜や魚の市場と同じで、たくさん採れた日は安く、採れない日は高くなります。 電気も同じで、その時間に余っているか足りないかで価格が決まります。 取引が前日に行われる点は覚えておいてください。安い時間は、前日の時点で決まっているということです。
多くの電力プランは、この市場の値動きを電力会社が引き受けたうえで、 「1kWhあたり◯◯円」という固定の単価をお客さまに提示しています。 市場連動型は、その値動きをそのまま単価に反映するプランです。
| 固定単価のプラン | 市場連動型のプラン | |
|---|---|---|
| 単価の決まり方 | 契約時に決まった単価 | 30分ごとの市場価格で変わる |
| 安い時間 | 基本的にない(時間帯別プランを除く) | 電気が余っている時間 |
| 請求額の読みやすさ | 読みやすい | 月によって変わりやすい |
| 使う時間をずらす効果 | ほとんどない | 大きい |
| 値上がりの影響 | 電力会社が引き受ける | 契約者が受ける |
安くなる時間と、高くなる時間
価格は「余っているか、足りないか」で動きます。おおまかには次の傾向があります。
安くなりやすい時間
晴れた日の昼ごろ。太陽光発電がたくさん発電して電気が余るため、価格が下がりやすくなります。春や秋の、冷暖房をあまり使わない穏やかな日は特にその傾向が出ます。
高くなりやすい時間
夕方から夜。太陽光の発電が止まる一方で、帰宅後の家庭や営業中の店舗が電気を使うため、足りなくなりやすい時間です。真夏・真冬の冷暖房が重なる時間帯も上がります。
安い時間は、毎日同じではありません。
天気と気温で日替わりに変わります。「昼が安い」と覚えて家電を動かしても、曇りの日はそうならないこともあります。
価格を毎日見張って生活を合わせるのは、現実的ではありません。自動でためて、自動で使う仕組みが要るのは、このためです。
「危険」と言われる理由は、高騰のリスク
ここがこの記事でいちばん大事なところです。 市場連動型は、市場価格が上がれば、そのまま単価が上がります。
どのくらい上がるのか。実際に起きた例があります。2021年1月です。
2021年1月13日、スポット市場の1日平均価格は154.6円/kWhを記録しました。
資源エネルギー庁によれば、それ以前の1日平均の最高価格は26.2円/kWhでした。
つまり、それまでの最高値の5倍を超える水準まで跳ね上がったことになります。
なぜこうなったのか。同庁の説明によれば、断続的な寒波で「10年に一度」を超える需要が発生する一方、 LNG(液化天然ガス)の在庫が減って火力発電の出力が抑えられ、石炭火力もトラブルで相次いで停止。 原子力はフル稼働が2基にとどまり、水力は渇水、太陽光も発電量が落ち込みました(1月12日は全国の太陽光発電比率が1.9%)。 複数の要因が同時に重なった結果です。
高騰は、寒波や猛暑のほか、発電所の停止や燃料価格の高騰でも起こり得ます。 そして、こうした要因が重なるかどうかを事前に知ることはできません。
毎月必ず安くなるプランではありません。
平均すれば安くなる月が多くても、高騰した月は高くなります。
毎月の電気代が上下すること自体を避けたい方には、このプランは向きません。
蓄電池があると、何が変わるか
蓄電池は、価格が安い時間に電気をためて、高い時間にその電気を使うための機器です。 市場連動型と組み合わせると、高い時間に電力会社から買う量を減らせます。
- 高い時間に買う量が減るため、単価が上がる時間の影響を小さくできる
- 自動でためて、自動で使うので、価格を毎日見張る必要がない
- 停電したときは、ためた電気をそのまま使える
ただし、できないこともあります。ここを曖昧にすると、あとで話が違うということになります。
- 容量を超えて使う分は、その時間の単価で買うことになる
- 高い状態が何日も続くと、ためられる量では追いつかない
- 市場価格の上下そのものを、なくすことはできない
つまり蓄電池は、高騰を「防ぐ」ものではなく「やわらげる」ものです。 くわしくは太陽光なしで蓄電池が使える仕組みと 蓄電池のデメリットもあわせてご覧ください。
向く人・向かない人
- 電気をたくさん使う(電灯契約の電気代が月2万円以上)
- 安い時間にためて高い時間に使う機器(蓄電池)とセットで考えている
- 月ごとの電気代が多少上下しても、年間で見て判断できる
- 毎月の電気代が変動すること自体を避けたい
- 電気の使用量がもともと少なく、下げられる幅が小さい
- 電気の契約を切り替えたくない
電気代がどのくらいなら効果が見込めるのかは、 元が取れるのかという記事で計算の考え方を説明しています。
契約する前に確認したい5つのこと
- 単価に上限があるか。ある場合は、その水準と、どんなときに適用されるか
- 市場価格のほかに何がかかるか。基本料金、再エネ賦課金、手数料などの内訳
- 解約金と最低契約期間。合わなかったときに戻せるか
- 切り替えにかかる期間。申し込みから何日ほどで切り替わるか
- 請求の確認方法。時間帯ごとの単価と使用量を、あとから見られるか
とくに1番目は必ず確認してください。上限の有無で、高騰したときの影響がまったく変わります。
まとめ
- 市場の値動きがそのまま単価になるプラン
- 使う時間をずらせる人には有利、ずらせない人には不利
- 「危険」と言われるのは高騰した月の請求が大きく膨らむから。これは事実
- 蓄電池があれば影響を小さくできるが、なくすことはできない
「危険」と言われるのは、高騰した月の請求が大きく膨らむことがあるからです。これは事実です。 そのうえで、安い時間に自動でためて高い時間に使う蓄電池があれば、その影響を小さくできます。 ただし、なくすことはできません。
当サイトでは、この前提をご理解いただいたうえでご検討いただきたいと考えています。 合わないと判断した場合は、その旨を正直にお伝えします。
出典:一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX)「取引概要」、経済産業省 資源エネルギー庁「2021年初頭、電力供給が大ピンチに。どうやって乗り切った?(前編)」。いずれも2026年9月に内容を確認しています。