デマンドレスポンス(DR)とは|蓄電池との関係
公開:2026年9月20日

蓄電池の補助金を調べていると、「DR」「デマンドレスポンス」という言葉に必ずぶつかります。 補助を受ける条件として書かれていることが多いのですが、説明を読んでもピンと来ない方が多いと思います。
この記事でわかること
- 電力需給の調整とは
- 家庭の蓄電池が担う役割
- DR補助金の条件との関係
- 参加の負担
- 実際に何が起きるか
読むのにかかる時間:約4分 / 出典は記事の末尾に記載しています
読む前に、向き不向きだけ先に確かめることもできます。 電気代の削減効果は、もともとの電気代の大きさで決まります。合わない場合は、その旨をはっきり表示します。
この記事では、この言葉の意味と、家庭や店舗の蓄電池がそこでどんな役割を担うのかを、できるだけ平たく説明します。
前提:電気は「ためておけない」
電力会社は、使われる量とつくる量を、常にぴったり合わせ続けています。 どちらかに傾くと電気の品質(周波数)が乱れ、大きく崩れれば停電につながります。
これまでは、つくる側(発電所)を増減させて合わせてきました。 足りなければ発電所を動かし、余れば絞る。この方法が中心でした。
デマンドレスポンスとは、使う側で調整すること
ところが、太陽光や風力が増えると、つくる側だけでは調整しきれなくなります。天気に左右されるからです。 そこで使う側(需要側=デマンド)に動いてもらって調整するという発想が出てきました。これがデマンドレスポンスです。
足りないとき:減らす(下げDR)
電気が足りなくなりそうな時間に、使用を控えてもらう、あるいは蓄電池から放電してもらう。停電を防ぐための協力です。
余っているとき:増やす(上げDR)
太陽光の発電が多すぎる時間に、あえて使ってもらう、あるいは蓄電池にためてもらう。捨てられるはずだった電気を活かします。
家庭や店舗の蓄電池が担える役割
ここで蓄電池が注目されるのは、人が我慢しなくても調整できるからです。
- 電気が余る時間に自動でためる(需要を増やす側の協力)
- 足りない時間にためた電気を使う(買う量を減らす=需要を減らす側の協力)
- 1軒ずつは小さくても、たくさん集まれば発電所に近い規模の調整力になります
国が蓄電池の普及を後押ししてきた理由のひとつが、この調整力としての価値です。 だからこそ、補助金の条件にDRへの協力が入ってくることがあります。
補助金の条件になっていることがある
実際の制度では、こう定められていました。
国の「家庭用蓄電システム導入支援事業」(DR家庭用蓄電池事業)では、補助の対象となる蓄電池は
蓄電池アグリゲーターまたは小売電気事業者がSIIに申請し、登録された製品に限られます。
そのうえで、需要家がアグリゲーターによる遠隔制御で「下げDR」「上げDR」を実施する契約を結ぶことが条件とされていました。
ただし条件は年度ごとに変わりますので、検討される際は必ずその年度の公募要領でご確認ください。
参加すると、実際に何が起きるのか
「勝手に電気を止められるのでは」と心配される方がいますが、そういうものではありません。 一般的には、次のような形です。
- 電力を束ねる事業者(アグリゲーター)から、協力を求める信号が届きます
- それに応じて、蓄電池が自動で充電したり放電したりします
- 生活や営業のために使う電気が、止められるわけではありません
ただし、次の点は事前に確認しておくべきです。
- 協力する時間帯に、蓄電池の残量が自分の想定と違う状態になることがある
- 通信のためのネット環境が必要になる場合がある
- 一定の期間、機器や契約を維持する義務が課されることがある
- 停電に備えて残量を確保したい場合、その設定ができるか
とくに最後の点は、防災目的で導入する方には大事です。 停電時の使い方については全負荷型と特定負荷型の違いもあわせてご覧ください。
「DRで稼げる」という説明には、気をつけてください
蓄電池の勧誘で、「調整力として提供すれば収入になる」という説明を受けることがあります。 仕組みとしては、そういう市場は実在します。需給調整市場といいます。
ただしその対価は、制度の見直しで下がる方向にあります。
| 商品区分 | 約定の上限価格 |
|---|---|
| 一次調整力・二次調整力①・複合商品 | 2026年3月13日までは19.51円 それ以降は15円 |
| 三次調整力①・二次調整力② | 7.21円 |
この金額は、1キロワットぶんの調整力を30分ぶん提供したときの価格です。 電気料金の「1kWhあたり何円」とは数え方そのものが違います。 この数字を、そのまま電気代と比べることはできません。
大事なのは金額そのものではなく、上限が引き下げられたという事実のほうです。 調整力の調達費用が高騰しないよう、制度として見直しが続いています。
そもそも、ご家庭の蓄電池1台がこの市場に直接参加するわけではありません。
参加するのはアグリゲーターで、多数の設備を束ねて応札します。
受け取れる対価があるとすれば、そこから配分されるものです。
いくらになるかは契約次第で、当サイトでは収入の目安をお示ししていません。
正直に申し上げます。当サイトでご案内している使い方は、DRで収入を得るものではありません。 安い時間にためて高い時間に使い、自分の電気代を下げるという内容です。 収入をうたう説明を受けたときは、誰が、どの市場で、どういう条件で配分するのかを書面で確認してください。
出典:資源エネルギー庁「需給調整市場について」(2026年5月13日・資料8)。2026年9月に内容を確認しています。
市場連動型のプランとの関係
当サイトでご案内している仕組みは、市場連動型のプランに切り替えて、 価格が安い時間にためて高い時間に使う、というものです。
これは信号で協力を求められる形ではありませんが、 「電気が余っている時間に使い、足りない時間に控える」という行動としては同じ方向を向いています。 価格という形で需要が動いている、と言い換えることもできます。 → 市場連動型プランの仕組みとリスク
まとめ
- デマンドレスポンスとは、使う側が動いて電力の需給を調整すること
- 蓄電池は、我慢せずに調整できるため、その担い手として期待されている
- 補助金の条件にDRが入っていることがあるが、内容は年度ごとに変わる
- 参加しても生活の電気が止められるわけではない。ただし残量の扱いは要確認
補助金を使って導入を考えるなら、条件として何を求められるのかを、契約する前に文書で確認してください。 期間の縛りがある場合、あとから知ると身動きが取れなくなります。
出典:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」。いずれも2026年9月に内容を確認しています。