停電の復旧までどれくらいかかるのか|過去の実例
公開:2026年9月20日

「停電しても、数時間もすれば戻るだろう」。 普段の停電の多くは実際にそうですが、大きな災害では、その前提が崩れます。 備えを考えるときに大事なのは、「最悪の場合、何日くらい続くのか」を知っておくことです。
この記事でわかること
- 過去の大規模停電の記録
- 復旧に日数がかかった事例
- 地域による違い
- 季節と停電の関係
- 備えの目安となる日数
読むのにかかる時間:約4分 / 出典は記事の末尾に記載しています
読む前に、向き不向きだけ先に確かめることもできます。 電気代の削減効果は、もともとの電気代の大きさで決まります。合わない場合は、その旨をはっきり表示します。
この記事では、国や電力会社の公表資料をもとに、過去の大規模停電で復旧にどれくらいかかったかをまとめ、 備えの目安になる日数を考えます。
過去の大規模停電の記録
平成30年北海道胆振東部地震(2018年9月)
地震の影響で北海道全域の電力の需給バランスが崩れ、日本で初めての「ブラックアウト(エリア全域の停電)」が起きました。
- 停電は約295万戸
- 地震発生から約2日で、停電の約99%が復旧
- ただし被害の大きかった地域では停電が続き、完全に解消したのは10月5日(約1か月後)
ポイントは、「全体の大半は2日で戻ったが、一部の地域は1か月かかった」という点です。 自分の地域がどちらになるかは、その時にならないと分かりません。
令和元年房総半島台風(2019年9月・台風第15号)
関東で記録的な強風となり、送電鉄塔の倒壊や多数の電柱の損傷が起きました。
- 東京電力の供給エリアで最大約93万戸が停電
- ほぼ解消したのは9月24日ごろで、約2週間かかった
- 倒木や道路の寸断で被害の確認に時間がかかり、当初の復旧見通しが大きくずれた
この台風では、停電が長引いたことで断水や通信の途絶も広がりました。 電気が止まると、水道のポンプや携帯電話の基地局にも影響が出るためです。
令和6年能登半島地震(2024年1月)
道路の寸断や土砂崩れで現地に入ること自体が難しく、復旧は長期化しました。
- 発災から約1か月後の1月末の時点でも、約2,500戸で停電が続いていた
- 電力各社から応援を受け、連日約1,000人規模で復旧作業にあたった
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「日本初の"ブラックアウト"、その時一体何が起きたのか」、内閣府「令和2年版 防災白書」、経済産業省「令和6年能登半島地震の電力・ガスにおける復旧対応等について」ほか公表資料。
復旧に日数がかかる理由
- 被害の確認に時間がかかる:倒木・土砂・浸水で、作業員が現場に近づけない
- 道路が使えない:資材や電源車を運べない
- 設備の被害が大きい:鉄塔や電柱の建て替えは、ケーブルの修理より時間がかかる
- 家の側の設備:配電線が戻っても、家の引込線やメーターまわりが傷んでいると、その家だけ電気が来ない
地域による違い
同じ災害でも、都市部と山間部・半島部では復旧の速さが違います。
- 山間部・半島部・離島:道路が限られ、寸断されると復旧が遅れやすい
- 倒木の多い地域:台風のたびに電線の被害が出やすい
- 雪の多い地域:冬の停電は、倒木や着雪に加えて、作業そのものが難しくなる
過去に長い停電を経験した地域にお住まいなら、備えの日数は長めに見積もるのが現実的です。
季節と停電の関係
| 季節 | 起きやすい原因 | 停電中のリスク |
|---|---|---|
| 夏〜秋 | 台風・落雷・大雨 | 熱中症、冷蔵庫の食品の傷み |
| 冬 | 大雪・着雪・暴風 | 低体温、暖房・給湯の停止、水道管の凍結 |
| 通年 | 地震 | 予告なく起き、夜間なら暗闇での避難 |
夏と冬の停電は、体調に直接関わるという点で、春や秋の停電より重く考える必要があります。 特に乳幼児、高齢の家族、在宅で医療機器を使う家族がいる場合はなおさらです。
これから先、電気は足りるのか
ここまでは、災害で起きた停電の話です。 では災害がなくても、電気が足りなくなることはあるのか。
将来の供給力を取引する「容量市場」という仕組みがあります。 4年後に必要な供給力を、あらかじめ確保しておくための市場です。 ここで2029年度ぶんを取引した結果が、2026年1月に公表されました。
東北エリアと東京エリアは、応札できる電源をすべて足しても、全国の水準に届きませんでした。
資料には「東北・東京が不足ブロックのまま追加できる電源がなくなったため、減少処理は行わなかった」と記されています。
ここは、慎重に読んでください。 これは「2029年に停電する」という予告ではありません。 容量市場の約定処理のなかで、ある基準を満たすだけの電源が集まらなかったという事実です。 実際の需給は、その年の気象や節電、他エリアからの融通によって変わります。
それでも、供給に余裕がある状態とは言えないことは読み取れます。 北海道91万kW、東京432万kW、九州165万kWと、不足したエリアには可能なかぎりの電源が追加されていました。
正直に申し上げると、この数字だけで蓄電池を勧めるつもりはありません。 備えの判断は、これまで見てきた過去の実例のほうを土台にしてください。 この話は、「電気は当たり前に来るもの」という前提が、少しずつ揺らいでいるという背景として読んでいただければ十分です。
出典:電力広域的運営推進機関「容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)」2026年1月20日公表(2026年1月23日訂正)。2026年9月に内容を確認しています。
備えの目安となる日数
過去の事例から考えると、備えは次の3段階で考えるのが現実的です。
最低限:半日〜1日
落雷や設備故障など、多くの停電はこの範囲で戻ります。スマホの充電、照明、冷蔵庫を守れれば困りません。
標準:3日
大規模停電でも、多くの地域はこの範囲で復旧しています。食料・水・電源を3日分は、防災の基本の目安です。
長期:1〜2週間
被害の大きかった地域の実例です。電池の容量だけでしのぐのは難しく、太陽光や発電機、避難先の確保も含めて考えます。
太陽光のない蓄電池は、「最初に貯めていた分」がすべてです。
停電中は電力会社から電気が来ないため、太陽光がなければ再充電できません。
1日分の容量なら、1日で終わりです。長期の停電に備えるなら、何を諦めて、何を優先するかを先に決め、
発電機やソーラーパネル付きのポータブル電源など、充電し直せる手段との組み合わせも検討してください。
まとめ
- 過去の大規模停電では、大半は2〜3日で復旧している
- 一方、被害の大きい地域では2週間から1か月かかった例もある
- 備えの基本は3日分。山間部・半島部ではさらに長く見積もる
- 夏と冬の停電は体調に関わる。「その間、誰の、何を守るか」を決めておく
そして、夏と冬の停電は体調に関わります。 「何日しのぐか」と同時に、「その間、誰の、何を守るか」を決めておくことが、備えの出発点です。