在宅医療機器と停電|備えておくべき電源
公開:2026年9月20日

在宅で人工呼吸器や酸素濃縮装置などの医療機器を使っているご家庭にとって、停電は命に直結するリスクです。 「停電したら、どのくらいの時間、機器を動かし続けられるのか」。 これは、災害が起きてからではなく、平時のうちに答えを持っておくべき問いです。
この記事でわかること
- 停電が直接リスクになる機器
- 機器ごとの消費電力と必要容量
- 内蔵バッテリーの持続時間
- 自治体の支援制度
- 蓄電池を選ぶときの条件
読むのにかかる時間:約4分 / 出典は記事の末尾に記載しています
読む前に、向き不向きだけ先に確かめることもできます。 電気代の削減効果は、もともとの電気代の大きさで決まります。合わない場合は、その旨をはっきり表示します。
この記事では、停電への備えを考える順番と、電源を選ぶときの条件を整理します。
この記事は、医療的な判断の代わりにはなりません。
医療機器の消費電力、バッテリーの持続時間、停電時の対応は、機種と病状によって異なります。
必ず主治医・訪問看護ステーション・医療機器の取り扱い業者に確認し、その指示を優先してください。
停電が直接リスクになる機器
- 人工呼吸器(気管切開下・マスク式)
- 在宅酸素療法の酸素濃縮装置
- たん吸引器
- 輸液ポンプ・経管栄養ポンプ
- エアマットレス(床ずれ防止)・電動ベッド
- 在宅透析の機器
機器によって、止まってすぐに危険なものと、ある程度の時間は代わりの手段でしのげるものがあります。 まず、ご家庭で使っている機器を書き出し、それぞれが止まったときにどうなるかを、主治医に確認してください。
ステップ1:機器ごとの消費電力と、必要な時間を知る
電源の備えは、「何Wの機器を、何時間動かす必要があるか」から逆算します。
- 消費電力:機器の銘板や取扱説明書、または取り扱い業者に確認する
- 必要な時間:過去の大規模停電では、復旧に数日から2週間以上かかった地域もある
- 使い方:24時間使うのか、夜間だけか、必要なときだけか
この記事では、機器の消費電力の目安の数値は示しません。 同じ種類の機器でも機種と設定で大きく違い、目安の数字で備えると足りなくなるおそれがあるからです。
ステップ2:内蔵バッテリーの持続時間を確認する
多くの在宅医療機器には、内蔵バッテリーや外部バッテリーが用意されています。
- 満充電で何時間動くか(新品のときと、今の劣化した状態で違う)
- 予備のバッテリーを持っているか。その充電状態を定期的に確認しているか
- 停電したとき、自動でバッテリー運転に切り替わるか
- バッテリーが尽きる前に、次の電源に切り替える手順を家族が知っているか
バッテリーが何時間持つかが分かれば、その時間を超える停電にどう備えるかが次の課題になります。
ステップ3:電源の選択肢を比べる
| 手段 | 在宅医療での利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 機器の予備バッテリー | 機器に合った電源で、確実に動く | 持続時間に限りがある。劣化と充電状態の管理 |
| ポータブル電源 | 工事不要で屋内で使える。持ち出して避難先でも使える | 容量と出力の確認。出力の波形(正弦波)が機器に合うか。停電時は差し替えの操作が必要 |
| 定置型蓄電池 | 停電時に自動で切り替わる機種が多い。容量が大きい | 切り替えにかかる時間。特定負荷型なら、機器のコンセントの回路が対象か。太陽光がなければ使い切ったら終わり |
| 発電機 | 燃料があれば長時間 | 屋外でしか使えない(一酸化炭素中毒の危険)。インバーター式でないと電圧が不安定になりやすい。起動の操作が必要 |
| 自動車からの給電 | 燃料やバッテリーがあれば使える | 車種によって出力が違う。排気ガスへの注意(閉めきった場所でエンジンをかけない) |
医療機器につなぐ電源は、必ず機器メーカーに確認してください。
ポータブル電源・蓄電池・発電機の中には、出力の波形や電圧の安定性が医療機器に適さないものがあります。
「この電源につないでよいか」を、機種名を伝えて取り扱い業者に確認するのが安全です。
自治体の支援制度
- 非常用電源の購入費の助成:自治体によっては、在宅で人工呼吸器などを使う方を対象に、ポータブル電源や発電機の購入費を助成する制度があります
- 個別避難計画:災害時に自力での避難が難しい方について、市区町村が一人ひとりの避難計画をつくる取り組みがあります(2021年の災害対策基本法の改正で、市町村の努力義務になりました)
- 停電時に電源を借りられる場所:病院・避難所・福祉避難所などで、電源の提供を受けられるかどうか
制度の有無と内容は地域によって違います。お住まいの市区町村の障害福祉・保健の窓口や、訪問看護ステーション、保健所に確認してください。
ステップ4:蓄電池を選ぶときの条件
定置型の蓄電池を検討する場合は、次の条件を確認します。
- 停電時の切り替え:自動で切り替わるか。切り替えにかかる時間の間、機器の内蔵バッテリーでつなげるか
- 停電時の出力:医療機器と、同時に使いたいほかの家電(冷蔵庫・照明・空調)の合計を上回るか
- 容量:機器の消費電力 × 必要な時間を、余裕を持って満たすか
- 回路:特定負荷型なら、医療機器を使う部屋のコンセントが対象の回路に入っているか。全負荷型が安心
- 残量の設定:普段の電気代の削減で使い切ってしまわないよう、常に残しておく下限を高めに設定できるか
- 工事の停電時間:設置工事で電気を止める時間の対応を、事前に業者と決めておく
平時にやっておくこと
- 機器ごとの消費電力とバッテリーの持続時間を一覧にし、見える場所に貼る
- 停電したときの手順(誰が、何を、どの順に)を家族で決め、実際に一度やってみる
- 予備バッテリー・非常用電源の充電状態を定期的に確認する
- 主治医・訪問看護・取り扱い業者・市区町村の連絡先をまとめておく
まとめ
- 順番は消費電力と必要な時間を知る → 内蔵バッテリーで何時間持つか → その先を何で補うか
- 電源を選ぶときは、医療機器につないでよいかを機器メーカーに必ず確認する
- 自治体の支援制度や個別避難計画も含めて考える
- 一つの手段に頼りきらない備えをつくる
電源を選ぶときは、容量や出力だけでなく、医療機器につないでよいかを必ず機器メーカーに確認してください。 そして、自治体の支援制度や個別避難計画も含めて、一つの手段に頼りきらない備えをつくることが大切です。