パン屋・菓子店の電気代|オーブンと冷蔵設備
公開:2026年9月15日
パン屋や菓子店は、「製造」と「小売」を同じ場所で行う業態です。 つまり電気代も、工場の性格と店舗の性格を両方持っています。 早朝から動くオーブンと、24時間止まらない冷蔵・冷凍設備。この2つが電気代の中心です。
この記事では、製造小売の電気代の特徴を整理し、 早朝の仕込みと時間帯別プランの関係、停電時の仕掛品と在庫のリスクについて書きます。
製造小売の電気代の特徴
① オーブン・製造機器
電気オーブンは1台で数kWの消費電力があり、予熱から焼成まで長時間動きます。ミキサー、ホイロ(発酵器)、フライヤーも加わります。ガスオーブンの店では、この部分はガス代に出ます。
② 冷蔵・冷凍
生地の冷蔵、材料の保管、冷凍生地のストック、ショーケース。閉店後も止められません。製造と販売の両方で使うため、台数が多くなりがちです。
③ 空調
厨房はオーブンの熱で暑くなり、売り場はお客さまのために快適に保つ必要があります。「熱を出す場所」と「冷やす場所」が隣り合っているぶん、効率が落ちます。
④ 照明・レジ
商品をおいしそうに見せる売り場の照明、レジ、看板。営業時間中はずっと点いています。
早朝から動く設備
パン屋の1日は、まだ暗いうちに始まります。 朝の開店に間に合わせるため、深夜から早朝にかけてオーブンとホイロが動くのがこの業態の特徴です。
これは料金プランを考えるうえで、見逃せない点です。 時間帯別のプランでは、深夜から早朝が安い時間帯に設定されていることが多く、 たとえば東京電力エリアのスマートライフS/Lでは1時〜6時が安い単価です。
- 早朝の仕込みが安い時間帯に重なる店は、プランを切り替えるだけで恩恵を受けられる可能性があります
- ただし日中の単価は高めになるので、日中の冷蔵・空調・売り場の電気が多い店は、差し引きで確認が必要です
電力会社のWebサービスで30分ごとの使用量が見られる場合は、1日の使用量のグラフを一度確認してみてください。 仕込みの山がどの時間帯にあるかで、プランの向き不向きがはっきりします。
冷蔵・冷凍の常時稼働
オーブンは焼く時間だけ動きますが、冷蔵・冷凍は24時間です。 生地の低温発酵、バターや生クリームの保管、冷凍生地のストック、そしてケーキのショーケース。 台数が多いほど、閉店後の「底」の電気代が積み上がります。
- ショーケースは、閉店後にカバーをかけるだけで冷気の流出を抑えられます
- 冷蔵庫の放熱スペースが、材料の箱や粉袋で塞がれていないか確認してください
- 古い冷凍ストッカーは消費電力が大きく、入れ替えの時期に効率を見る価値があります
停電したときの仕掛品と在庫
製造小売の停電は、2種類の損失が同時に起きます。
- 仕掛品の損失。発酵中の生地、焼成途中のパン、仕込み中のクリーム。停電の時点で、その日の製造がすべて止まります
- 在庫の損失。冷蔵・冷凍の材料と商品。停電が長引けば廃棄です
- 営業中なら、レジも照明も止まり、焼き上がった商品を売ることもできません
早朝に停電が起きれば、その日の商品が作れず、開店できません。 1日分の売上と材料が同時に消えるのが、この業態の停電の重さです。
時間帯別プランと蓄電池の適合性
蓄電池は、単価の安い深夜の電気を蓄えて、単価の高い時間帯に使う仕組みです。 東京電力エリアの例では、1kWhあたり8.54円の差があります(従量電灯B第2段階36.40円/スマートライフS/L夜間27.86円、2026年5月時点)。太陽光パネルは必要ありません。
パン屋の場合、少し考えるべき点があります。 早朝の仕込みですでに安い時間帯の電気を使っている店では、 蓄電池で置き換えられるのは、日中の冷蔵・空調・売り場の分になります。 それでも、冷蔵設備が多い店では日中の使用量も大きく、置き換える対象は十分にあります。
停電の面では、蓄えた電気で冷蔵・冷凍設備を動かし続け、材料と商品を守ることができます。 オーブンを蓄電池で動かすのは容量的に現実的ではありませんが、在庫を守るだけでも損失は大きく変わります。
「動力」の電気は対象外です。
業務用オーブン、大型ミキサー、業務用冷凍庫、業務用エアコンは、動力(三相200V・低圧電力)で引かれていることが多い設備です。
蓄電池で削減・バックアップできるのは電灯(単相)の分だけ。
製造機器が動力中心の店では、対象になるのは売り場側の電気に限られます。まず検針票を2枚並べて、内訳を確認してください。
合う可能性が高い店
- 電灯契約の電気代が月3万円を超えている
- 冷蔵・冷凍設備やショーケースの多くが電灯(単相)で動いている
- 停電時に守りたい在庫(材料・商品)の金額が大きい
- 日中の売り場・空調の電気が大きい(置き換える対象が多い)
合わない可能性が高い店
- 製造機器も冷蔵設備も動力で、電灯の分が小さい
- 小規模で、電灯の電気代が月1〜2万円程度
- オーブンのバックアップが目的(容量的に現実的ではありません)
まとめ
パン屋・菓子店の電気代は、早朝のオーブンと24時間の冷蔵・冷凍が中心です。 早朝の仕込みが安い時間帯に重なる店では、プランの見直しだけで変わる余地があります。 まず1日の使用量のグラフで、山がどこにあるかを確認してください。
蓄電池を考えるなら、確認することは2つ。製造機器と冷蔵設備が電灯か動力か、そして停電時に守りたい在庫の金額。 電灯の設備が多く、守りたい在庫が大きい店ほど、検討する意味が出てきます。