ペットサロン・動物病院の電気代
公開:2026年9月15日
ペットサロンや動物病院には、人間相手の店にはない制約があります。 室温を、動物のために管理しなければならないことです。 お客さまが我慢すればいい話ではなく、預かっている動物の体調に直結します。
この記事では、トリミングサロン・ペットホテル・動物病院の電気代の内訳を整理し、 停電したときに動物を守れるかという視点も含めて、判断の目安を書きます。
ペット関連施設の電気代の内訳
① 空調
犬や猫は人間より暑さに弱く、特に夏場は室温を下げすぎるくらいで保つ必要があります。ペットホテルや入院室があれば、営業時間外も止められません。
② ドライヤー・乾燥機
トリミングで使うブロワーやドライヤーは、1台で1,000W以上のものが多く、シャンプー後に長時間使います。乾燥室(ドライルーム)があれば、さらに大きくなります。
③ 給湯
シャンプーは1頭ごとに大量のお湯を使います。電気温水器やエコキュートなら、ここが大きな項目になります。冬は水温が下がるぶん、さらに増えます。
④ 医療機器・保管設備
動物病院では、検査機器、レントゲン、滅菌器、ワクチンや薬剤の冷蔵庫。温度管理が必要な薬剤は、停電時にそのまま損失になります。
温度管理が「必須」という制約
人間相手の店なら、「少し暑いですが」と断ることもできます。 動物相手ではできません。熱中症のリスクは、人間よりはるかに高いからです。 特に短頭種の犬や、高齢の動物、術後の動物を預かっている場合、室温の管理は命に関わります。
そのため、ペット関連施設の空調は「節電のために我慢する」という選択肢がほぼありません。 営業時間外に動物を預かる施設では、夜間も空調が動き続けます。
停電したとき、動物を守れるか
この業態で、電気代より重く考えるべきなのが停電です。
- 夏の停電で空調が止まれば、預かっている動物が熱中症になる危険があります。数時間で危険な状態になることもあります
- 入院中の動物の酸素室や保温器が止まれば、命に関わります
- ワクチン・薬剤の冷蔵が途切れれば、廃棄と、診療の中断につながります
- トリミングの途中で止まれば、濡れたままの動物を乾かせず、体温が下がります
自分の店の設備が壊れたわけではなく、地域一帯が停電しただけでも、これは起きます。 「停電したら、預かっている動物をどう守るか」は、この業態では備えの前提として考えておくべきことです。
見直せること
| 乾燥室・ドライヤー | 予約のない時間に乾燥室を温め続けていないか。トリミングの順番を工夫して、まとめて使う |
|---|---|
| 給湯温度 | 必要以上に高くしていないか。ただし動物の皮膚に合う温度が優先です |
| 空調の効率 | フィルター清掃、日差しの遮断。預かりスペースと待合を分け、必要な範囲だけを強く冷やす |
| 照明のLED化 | 済んでいなければ効果があります。済んでいれば、ここに削る余地はほぼありません |
蓄電池という選択肢
蓄電池は、単価の安い深夜の電気を蓄えて、単価の高い時間帯に使う仕組みです。 東京電力エリアの例では、1kWhあたり8.54円の差があります(従量電灯B第2段階36.40円/スマートライフS/L夜間27.86円、2026年5月時点)。 日中に空調・ドライヤー・給湯を使うペットサロンは、使い方の形としては合っています。太陽光パネルは必要ありません。
ただしこの業態では、電気代の削減より「停電時に空調を止めない」ことのほうが決め手になるケースが多いはずです。 蓄えた電気で空調と保管庫を数時間動かせれば、預かっている動物を守れます。
「動力」の電気は対象外です。
動物病院やペットホテルで業務用エアコンを動力(三相200V・低圧電力)で引いている場合、その分は削減もバックアップもできません。
蓄電池が対応するのは電灯(単相)の分だけです。停電時に動かしたい空調が電灯か動力か、検針票と室外機の表示で先に確認してください。
合う可能性が高い施設
- 動物を預かる(ペットホテル・入院)ため、停電時の空調が命に関わる
- 電灯契約の電気代が月3万円を超えている
- 停電時に守りたい空調・保管庫が、電灯(単相)で動いている
- 温度管理が必要な薬剤・ワクチンを扱っている
合わない可能性が高い施設
- トリミングのみで預かりがなく、電気代が月1〜2万円程度
- 空調が動力で、電灯の分が小さい
- 生命維持に関わる医療機器のバックアップが目的(蓄電池だけに頼らず、専門の設備業者への相談が必要です)
まとめ
ペットサロン・動物病院の電気代は、空調・ドライヤー・給湯が中心で、動物の体調のために空調を削れないという制約があります。 お金をかけずに見直せるのは、乾燥室や給湯の運用です。
そのうえで、この業態で最初に考えるべきなのは停電したときに動物を守れるかです。 預かりや入院の施設であれば、電気代の削減とは別の理由で、備えを検討する価値があります。 出発点は、停電時に動かしたい空調が電灯か動力かを確認することです。