11月の電気代が上がる2つの理由|10月ではありません
公開:2026年9月30日

「10月から電気代が上がる」という話を見た方は多いと思います。 ところが10月に届く請求では、まだ上がりません。 上がるのは、その次の11月の請求からです。
この記事でわかること
- 10月の請求には、まだ支援が乗っています
- 理由1:電気・ガス料金支援が9月使用分で終わる
- 理由2:11月1日から送電網の使用料が変わる
- 燃料価格の影響は、来年度まで続く見通し
- 自分の請求がどうなるか、確かめる方法
- 上がるのは「全部」ではありません
- 上がり続ける前提で、いま考えておくこと
読むのにかかる時間:約6分 / 出典は記事の末尾に記載しています
読む前に、向き不向きだけ先に確かめることもできます。 電気代の削減効果は、もともとの電気代の大きさで決まります。合わない場合は、その旨をはっきり表示します。
しかも11月は、理由が2つ重なります。 この記事では、いつ・何が・どれだけ変わるのかを整理し、 ご自身の明細で確かめる方法までをまとめます。
10月の請求には、まだ支援が乗っています
電気やガスの料金は、使った月と、請求が届く月が1か月ずれます。 9月に使った分は、10月に検針されて請求されます。
国の支援は9月使用分までが対象でした。 つまり10月に届く請求には、まだ値引きが乗っています。 ここを取り違えると、「10月の請求を見たけれど上がっていない、報道は大げさだった」と受け取ってしまい、 11月に驚くことになります。
理由1:電気・ガス料金支援が9月使用分で終わる
いま実施されているのは「電気・ガス料金支援」という制度です。 2026年5月に、暑くなる夏への対応として決まったもので、 2026年7月から9月までの使用分を対象とする、3か月限りの措置でした。
| 使った月 | 請求(検針)の月 | 支援の値引き |
|---|---|---|
| 2026年7月 | 8月 | あり |
| 2026年8月 | 9月 | あり(最も大きい月) |
| 2026年9月 | 10月 | あり(これが最後) |
| 2026年10月 | 11月 | なし |
この支援は、補助金を申請して受け取るものではありません。 小売事業者が毎月の請求から直接値引きする仕組みで、 全国の大手電力10社をはじめ、新電力を含む多くの事業者が参加していました。 申し込みが不要だった代わりに、終わるときも自動的に終わります。
なお、10月以降の支援が「廃止された」わけではありません。 正確にはまだ決まっていないという状態です。 これまでも冬と夏に、期間を区切って実施と休止を繰り返してきました。 ただし再開されるかどうかは分からないので、当てにして待つのは難しいのが実情です。
理由2:11月1日から送電網の使用料が変わる
もう一つが託送料金です。あまり聞き慣れない言葉ですが、 電気を家庭まで届ける送電網の使用料のことで、 電気料金のうち3〜4割を占める大きな項目です。
この託送料金が、2026年11月1日から改定されます。 送配電を担う各社が国に申請し、認可されたもので、 資材費・人件費・金利の上昇が当初の想定を超えたことが理由とされています。 小売各社も、同じ日から電気料金に反映すると発表しています。
- 支援の終了と託送料金の改定が、同じ11月の請求で重なる
- 託送料金は使った時間帯に関係なくかかる
- 大手電力10社の発表では、標準的な家庭で835円〜1,578円の上昇(2026年9月29日発表)
金額は契約している会社とプランによって変わります。 上の幅は報道されている数字で、ご自身の請求がいくら上がるかは、明細で確かめるしかありません。
燃料価格の影響は、来年度まで続く見通し
今回の値上がりは、支援の終了と託送料金だけが原因ではありません。 中東情勢によるエネルギー調達の混乱が重なっています。
燃料の価格は、仕入れてから料金に反映されるまでに数か月かかります。 そのため今後しばらく、上昇分が時間差で効いてくると見られています。 一時的に高いだけなので待てばよい、という前提は立てにくい状況です。
自分の請求がどうなるか、確かめる方法
いちばん確実なのは、手元の明細を見ることです。 紙でもウェブの会員ページでも構いません。次の順に見てください。
- 検針月を確認する:「10月分」なのか「11月分」なのか。支援が乗っているのは10月分まで
- 値引きの行を探す:「電気・ガス料金支援」「政府支援」など、名称は会社によって違います。マイナスの金額で記載されています
- その行が消えた月を見る:同じ使い方でも、その分だけ請求が増えます
- 契約プランの名前を控える:見直しを考えるときに必要になります
11月の請求が届いてから慌てるより、10月のうちに一度見ておくほうが、落ち着いて比べられます。
上がるのは「全部」ではありません
ここは正直に書きます。使い方を工夫しても、避けられない部分があります。
| 上がる要因 | 使い方の工夫で避けられるか |
|---|---|
| 支援の終了 | 避けにくい。値引きは使った量に応じたもので、使う時間をずらしても戻らない |
| 託送料金の改定 | 避けにくい。送電網の使用料は、時間帯に関係なくかかる |
| 燃料価格による上昇 | 一部は効く。安い時間帯に寄せられる分だけ、影響を小さくできる |
蓄電池は「安い時間に充電して、高い時間に使う」ための設備です。 電気を使う総量が減るわけではなく、使う時間をずらす道具だと考えてください。 充電と放電のときに少しロスも出ます。
ですから「値上がり分を蓄電池で取り返せる」とは言えません。 効くのは、時間帯によって単価が変わる部分だけです。 逆に言えば、その差が大きいプランほど効きやすいということでもあります。 時間帯別プランの仕組みや 市場連動型プランの仕組みとリスクもあわせてご覧ください。
上がり続ける前提で、いま考えておくこと
値上がりが一度きりで終わらない可能性がある以上、打てる手は先に知っておいたほうが有利です。 費用のかからない順に挙げます。
- 契約プランを見直す:設備を入れずにできます。ただし解約金や期間の条件があるので、 切り替えの注意点を確認してから動いてください
- 使う時間をずらす:洗濯や食洗機、湯沸かしの時間を変えるだけでも、時間帯で単価が変わるプランなら効きます
- 蓄電池を検討する:時間差を自分で作る設備です。 太陽光がなくても使えます
蓄電池を考える場合、時間の逆算は早めにしておくことをおすすめします。 検討・見積もり・工事・申請には、それなりの期間がかかります。 来年の夏に間に合わせたいなら、今から動いても急ぎではありません。
補助金には年度ごとの予算の枠があります。 上限に達すると年度の途中でも受付が終わることがあり、 次の年度に同じ制度があるとは限りません。 詳しくは補助金の基礎と 申請の流れにまとめています。 なお工事の前に申請が必要な制度が多いので、順番にはご注意ください。
電気代がいくら下がるか、何年で元が取れるかは、 契約プラン・使い方・お住まいの条件で大きく変わります。 この記事では断定しません。 まずはご自身の明細を確認するところから始めてください。
この記事の出典
- 資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」
- 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」(2026年6月12日)
- 経済産業省「一般送配電事業者10社の託送供給等約款の変更を認可しました」
- 大手電力10社の料金発表(2026年9月29日)