【業種別】電気代が高くなりやすい業種と、その理由
公開:2026年9月15日
「うちの電気代は、業種としては高いほうなのか」。 この問いには、金額だけでは答えられません。 同じ月5万円でも、何に使っているか、そしてその電気が「電灯」なのか「動力」なのかで、意味がまったく変わるからです。
この記事は、業種別に書いてきた14本の記事をまとめたものです。 電気代が高くなりやすい業種の共通点、業種ごとの特徴、対策の優先順位を一覧にしました。 自分の業種の詳しい記事へは、この記事から進めます。
電気代が高くなる業種の共通点
業種は違っても、電気代が高くなる店には共通する構造があります。
① 止められない設備がある
冷蔵・冷凍、給湯、保温、預かり中の動物の空調。営業時間外も動き続ける設備があると、電気代に「底」ができます。
② 快適さが商品になっている
美容室、エステ、整体院、宿泊施設。お客さまが快適でなければ商売にならない業種は、空調を我慢する節電ができません。
③ 熱を作っている
ドライヤー、オーブン、給湯、ホットパック。「温める」機器は消費電力が大きく、使う時間が長いほど積み上がります。
④ 営業時間が長い
24時間ジム、夜まで営業する飲食店や塾。同じ設備でも、動いている時間が長ければ金額は膨らみます。
業種別の特徴一覧
各業種の電気の中心と、注意点をまとめました。 「動力の注意」の欄は、蓄電池を検討するときに最初に確認すべき点です。
| 業種 | 電気の中心 | 動力の注意 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 美容室・理容室 | 給湯・空調・ドライヤー・照明 | 電灯が主。大型空調が動力の場合あり | 美容室の電気代 |
| 飲食店 | 冷蔵・冷凍・空調・厨房機器 | 大型冷蔵庫・業務用空調が動力のことが多い | 飲食店の電気代 |
| コインランドリー | 洗濯機・乾燥機(ガス式が多い)・空調 | 電気代の5〜9割が動力。蓄電池は効かない | コインランドリーの電気代 |
| 民泊・貸別荘 | 空調・給湯・家電一式 | 住宅と同じ電灯が主 | 民泊の光熱費 |
| 整体院・接骨院 | 空調・施術機器・温める設備 | 電灯が主。小規模だと電気代自体が小さい | 整体院の電気代 |
| クリニック・歯科 | 空調・医療機器・保管庫・電子カルテ | 歯科のコンプレッサー等が動力のことあり | クリニックの電気代 |
| ジム・フィットネス | 空調・照明・有酸素マシン(24時間) | 業務用空調が動力のことあり。大型は高圧契約 | ジムの電気代 |
| ネイル・エステ | 空調・温める機器・施術機器 | 電灯が主。小規模だと電気代自体が小さい | サロンの電気代 |
| 旅館・ホテル | 給湯・空調・共用部・厨房 | 浴場ポンプ等が動力のことあり。大型は高圧契約 | 旅館・ホテルの電気代 |
| 小売店 | 照明・空調・冷蔵ケース | 大型冷蔵ケースが動力のことあり | 小売店の電気代 |
| 事務所 | 空調・照明・OA機器 | テナントは空調が共益費のことあり | 事務所の電気代 |
| 学習塾 | 空調・照明(夕方〜夜に集中) | 電灯が主。業務用空調は要確認 | 学習塾の電気代 |
| ペットサロン・動物病院 | 空調・ドライヤー・給湯・保管庫 | 業務用空調が動力なら停電対策にならない | ペットサロンの電気代 |
| パン屋・菓子店 | オーブン・冷蔵冷凍・空調 | 製造機器・大型冷凍庫が動力のことが多い | パン屋の電気代 |
「止められない設備」があるかどうか
電気代の対策を考えるとき、最初に分けるべきなのは「使う量を減らせる電気」と「減らせない電気」です。
- 減らせる電気:照明の点灯時間、待機電力、使っていない部屋の空調、保温機器の入れっぱなし
- 減らせない電気:冷蔵・冷凍、お客さまのいる空間の空調、営業に必要な給湯、預かり中の動物の空調
減らせる電気は、お金をかけずに確実に減らす。 減らせない電気は、使う量ではなく「買う単価」を変える。この順番で考えると、対策が整理できます。
対策の優先順位
| 1 | 検針票を確認する。電灯と動力の2枚に分かれているか、それぞれいくらか。自社で契約しているか(テナントの共益費でないか)。ここが分からないと、どの対策も判断できません。 |
|---|---|
| 2 | お金をかけずにできることをやり切る。照明のLED化、フィルター清掃、放熱スペースの確保、保温機器の運用、待機電力。 |
| 3 | 契約プランを確認する。時間帯ごとの使用量を見て、時間帯別プランが得か損かを判断する。深夜に使う業態(ジム・パン屋)は切り替えだけで変わることがあります。 |
| 4 | 買う時間帯を変える設備を検討する。電灯の電気代が月3万円を超え、電灯で動く設備が中心なら、深夜の安い電気を蓄えて日中に使う蓄電池が選択肢に入ります。太陽光パネルは必要ありません。 |
| 5 | 停電の損失を別に考える。在庫、仕掛品、預かっている動物、診療の中断、宿泊客。電気代の削減とは別の理由で備えが必要な業種があります。 |
動力(三相200V・低圧電力)の電気は、蓄電池の対象外です。
当社が管理するコインランドリー7店舗では、電気代の5〜9割が動力でした。この構造では蓄電池は効かず、実際に導入していません。
電気代の総額ではなく、電灯の分がいくらか。それがすべての出発点です。
まとめ
電気代が高くなりやすいのは、止められない設備があり、快適さが商品で、熱を作り、営業時間が長い業種です。 ただし「高い」ことと「対策が効く」ことは別です。 電灯で動く電気が大きい業種ほど、買う時間帯を変える対策が効きます。
自分の業種の記事を読む前に、検針票を1枚手元に置いてください。 電灯と動力の内訳が分かれば、記事に書いてある判断の目安を、そのまま自店に当てはめられます。